TOP > 高校留学World情報通信 > 【体験談記事】3年間のカナダでの高校留学で感じた人間性の成長とは
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留学先はカナダのブリティッシュコロンビア州にあるメープルリッジという街で、
約3年間の正規留学を経験しました。
中学3年生の2学期の後半頃までは、海外の高校に進学することは全く考えておらず、日本の高校受験に向けて勉強していました。
しかし、受験勉強のストレスで精神的に落ち込んでしまった時期があり、気分転換にYouTubeを見ていたところ、たまたまカナダで高校留学をしている方の動画に出会い、「こういう選択肢もあるんだ」と知ったのが最初のきっかけです。

当時は、受験勉強から逃れたいという気持ちもあったかもしれません。
ですがそれだけではなく、将来CAになりたいという夢があったこと、そして一番好きな教科が英語だったことから、「ここで留学すれば、本格的な英語力が身につくのではないか」と考えました。この2つの理由から家族に相談し、高校3年間の正規留学を決意するに至りました。
意外かもしれませんが、異国で一人で生活することへの不安はあまりありませんでした。渡航前は英検準2級に落ちるレベルで、英語が流暢に話せたわけではありませんでしたが、なぜか「きっと大丈夫だろう」という不思議な自信がありました(笑)
不安よりも、海外で新しい友人を作ることへの期待の方が大きく、それが一番の楽しみでした!
英語力は、やはり日本にいるうちから可能な限り高めておくべきだったと痛感しました。
現地では、リスニングができなければ先生が何を言っているか理解できないし、スピーキングで素早く文章を組み立てられなければ、自分の意見を伝えることもできません。
特に発音には今でも苦労しているため、スピーキングとリスニングの基礎は、留学前にしっかり固めておけば良かったと心から思います。
高校3年生の時、日本の大学を受験することを決めた際にサポートが非常に役立ちました。
必要な書類や勉強法について、インターネットで調べることはできても、周囲に同じ境遇の人がいないため、自分の進めている準備が本当に正しいのか、常に不安がつきまといました。
特に、日本語で指示された書類をカナダの学校に英語で依頼するプロセスは複雑で、そんな時に担当の方が親身に相談に乗ってくださったことが、大きな心の支えになりました。
日本の高校に通った経験がないので想像になりますが、文化祭や体育祭のような、いわゆる「ザ・高校の青春」と呼べるような学校行事は、日本の方が多いように感じます。
カナダの高校では、全校生徒が一丸となって何かを成し遂げる、といったイベントはあまりありませんでした。
その一方で、カナダの高校は個々の生徒に対する柔軟性が非常に高いと感じます。例えば、課題の提出方法について「こういうやり方で提出したい」と提案すれば、先生は快く受け入れてくれます。
日本のように「必ずこのやり方で」という強制がなく、あらゆる面で自由度が高いため、ストレスなく学習に取り組めました。ちなみに、私の通っていた高校は大学のように時間割を自分で組むスタイルで、授業のない時間は自主学習に充てるという、少し特殊な環境だったことも、自由だと感じた一因かもしれません。
私の通っていた高校では、部活動やクラブ活動はまったく盛んではありませんでした。
たまに、参加したい人だけが集まって遊ぶような、非公式の「バドミントンクラブ」のようなものはありましたが、本格的な活動はありませんでした。その点も、日本の高校とは大きく違う部分だと思います。
カナダの授業だからという特別な理由ではありませんが、もともと好きだった数学の授業は、留学中も一番楽しかったです。
現地の先生もとても優しく、楽しく学ぶことができました。

ホストファミリー自身は素敵な方々なのですが、共同生活には想像以上に多くのストレスを感じました。
私は一人っ子で、母と二人暮らしでのびのびと育ったためか、些細なことにも敏感に反応してしまったのだと思います。例えば、他の留学生がバスルームで音楽を大音量で流すことなど、日本では考えられないような出来事に戸惑いました。
ホストマザーからは「もっと寛容になるべき」とアドバイスされ、確かにカナダの人々は、日本では迷惑だと感じられるようなことでも大らかに受け入れる傾向があるように感じます。しかし、その文化の違いに慣れるまでは、自分の価値観との間で妥協点を見つけるのが非常に難しく、大きなストレスとなっていました。
現在のホストファミリーは、どんな時も親身に相談に乗ってくれる本当に温かい方々です。
特にホストマザーは非常にポジティブな方なので、話しているだけでこちらも元気をもらえます。フィリピンにルーツを持つご家庭なので、日本では食べたことのない伝統的なフィリピン料理を振る舞ってくれたり、一緒に遠くまでお出かけに連れて行ってくれたりと、楽しい思い出もたくさんあります。
留学当初は、ホストファミリーが話していることが全く理解できませんでした。最初のホストマザーは少し厳格な方で、生活のルールについて色々と注意されることが多かったのですが、不思議なことに、なぜか怒られている時の英語だけは鮮明に聞き取れてしまいました。
そのため、「怒られている内容しか理解できない」という、精神的にとても辛い状況が続きました。
この状況を乗り越えるため、自分が伝えたいことがある時は、事前に翻訳アプリで文章を作成し、それを暗記してから話すように心がけていました。ただ翻訳を見せるのではなく、必ず自分の口で伝えるということを徹底し、少しずつコミュニケーションを図っていきました。
留学生活で最も困難だったのは、1年目に経験した強い精神的苦痛でした。
ホストファミリーとの相性の問題に加え、英語が全く話せない状況。さらに「日本人とは関わらない」と自分自身でルールを課していたため、頼れる友人も作れず、完全に孤立してしまいました。学校の授業は分からず、家に帰れば注意される、そんなストレスしかない日々が3ヶ月ほど続き、当時は毎日泣いていました。
2年目になると英語にも慣れましたが、学術的な授業を多く履修したため、膨大な課題に追われる日々でした。3年目には、急遽日本の大学を受験することを決意したため、IELTSのスコア取得や大学のリサーチなど、やらなければならないことが山積みで、情報量の多さに頭が混乱し、大変な時期もありました。
しかし、どんなに困難な状況でも、「机に向かって、一つずつやり続ければ必ず終わる」という経験を繰り返すうちに、精神的に強くなり、乗り越えるための習慣が身につきました。
留学を通して、二つの点で大きく変わったと感じています。一つは、周りに合わせるのではなく、自分の意思を大切にできるようになったことです。そしてもう一つは、「失敗しても大丈夫」と物事を前向きに捉えられるようになったことです。
海外では、物事が計画通りに進まないことが日常茶飯事です。そうした環境に身を置くうちに、「必ずこうあるべきだ」という固定観念に縛られる必要はないのだと学びました。以前よりも、物事に対して柔軟に対応できるようになったことが、一番の成長点だと思います。
カナダでの留学は、想像以上にストレスが多く、自分自身と向き合う時間が非常に長いです。

孤独や困難に直面した時、「どうすれば乗り越えられるか」を自ら考え、行動に移すというサイクルを何度も繰り返すことになります。その過程で、自立心や問題解決能力が自然と養われることこそ、この留学の一番の魅力であり、価値だと考えています。
「なぜ海外で学ぶのか」という目的意識と、その必要性を自分自身でしっかり理解している人に、留学をおすすめします。
もし、親に言われたからといった理由で、自分の中に「行きたい」という強い意志がなければ、必ず訪れる困難を乗り越えることは難しいでしょう。明確な目的がないまま留学してしまうと、ただ遊んで過ごすだけの日々になりかねません。留学先で何を成し遂げたいのかを、出発前によく考えることが非常に重要です。
留学生活は、決して楽しいことばかりではありません。
むしろ私自身は、辛いと感じることの方が多かったです。中には、志半ばで帰国する人もいます。
ですから、「海外は楽しそう」という憧れだけで安易に決断するのではなく、本当に3年間やり遂げられるのかを、自分の心に問いかけてみてください。その上で、「この留学で何を学びたいのか」という目的を改めて明確にすることが、後悔のない留学生活を送るために最も大切なことだと思います。